「上も詰まってるし、そろそろ次を考えるかぁ」「お給料も上がらないから働き方変えようかな」「いきなり独立より一旦業務委託に行こうかな」でも、『業務委託の完全歩合制ってなんだか怖いな』
美容師をしていたら一度は頭をよぎった事があると思います。
そんな方の為に、よくある報酬例や注意点、実際の金額、どのくらい稼げるのか、正社員との比較など詳しく解説します。
業務委託美容室の報酬の実態
業務委託美容室は基本的に完全歩合制です。
売上に対しておよそ40%〜60%バックという美容室が多いです。
ここで2つの注意点があります。これは求人票には載せていないので面接で聞くしかありません。
1、税込み計算なのか、税抜き計算なのか?
2、材料費は引かれるのか、引かれないのか?
この2点は聞いておかないと実際のお給料に関わります。
特に相場より高歩合の広告を出している美容室の場合は必ず聞いておきましょう。
業務委託の形態別計算例
ここに報酬の実例をサンプルとして載せます。
分かりやすいようにすべて(指名売上)で計算しています。材料費、消費税は10%
A社とB社の差は「消費税込みの売上か引いた売上か」です。これだけでも差が大きいですね。
A社(800,000×0.5=400,000)
B社((800,000ー80,000)×0.5=360,000)
C社はさらに材料費が引かれています。
C社(800,000ー80,000=720,000)⇨(720,000ー80,000=640,000)⇨(640,000×0.6=384,000)
消費税と材料費が引かれていますが歩合が高いので報酬は2番目に高くなっています。
これは求人票の見栄えがよくなるのでこういう表記を使う場合があります。
(例、歩合50〜65%など)68%というのも過去に見た事があります。
なので、面接時に歩合の中身を確認することを推奨します。
「指名料100%バック」という表記も見た事があると思います。
これはそのままの意味で、指名料が100%戻ってくるというものです。指名料は500円〜1,000円が多いと思います。
たまに指名料バックのサロンで歩合の%が相場より低い事があるのでこの表記がある時も念の為の確認をオススメします。
これだけのカラクリでもこんなに差が出ます!
業務委託時代の実際の報酬例。正社員時代との違いは?
私も実は正社員サロンから業務委託へ転職しました。転職直前は実際ちゃんと稼げるのか怖かったですし、「正社員」が常識として育った世代なので分からない事だらけでした。
なので、ここでは実際に私の過去の給与の一例を出して比較、解説いたします。
業務委託美容室の報酬実例
私が店長時代の一例です。この時は月6日休みで歩合がフリー38%、指名が48%です。
休みを増減すれば所得も直結で増減します。(意外と休みが自由じゃないこともあります)
一旦この金額が入ってきますが、ここから各種税金を支払うので手取りはもう少し下がります。
主な業務委託美容師の税の種類としてはこのようなものがあります。
国民年金保険料 1ヶ月あたり 16,590円
国民健康保険料 住んでいる地域で異なります。
所得税 総収入から経費、保険料、控除額などを引いてから計算します
住民税 住んでいる地域で異なります。
個人事業税 企業常駐型なら非課税
これ以外にもいくつかありますが今回は税の解説ではないので主な種類だけの紹介です。節税対策はしっかりしておく事をオススメいたします。メリットは節税すれば手元に残るお金は増えます。デメリットとしては節税しすぎると独立の融資の際に経歴として魅力が薄くなりますので融資額に響く恐れがあります。
業務委託と比較。正社員サロンの給与実例
正社員サロンはサロンによって給与体系が様々です。比較しやすいように上記と同じく100万円の売り上げと固定給25万円+指名歩合30%+店販10%で設定します。正社員サロンではフリーに歩合がつく場合とつかない場合がありますが、今回はつかない場合で計算します。
正社員サロンの給与計算の場合、税抜きで計算するのが一般的です。ですので指名売上が¥780,000の場合、¥78,000を引いて¥702,000になります。その指名歩合30%で¥210,600になります。店販も税抜にして計算します。
同じく¥780,000の売上があっても、フリーの分が計算されなかったり税抜だったりで¥106,200(およそ10万円)の差が出ます。
正社員サロンの給与体系で面接時に確認したいのは基本給の中身です。
手当をたくさん付けて給与を構成する場合がほとんどです。
これは仕方ないというか、こういうものではありますがそれでも安すぎる場合もあります。
各種保険で補償金を請求する場合や、育休、産休なども基本給をもとに計算するので、低すぎる会社は要注意です。
それと業務委託サロンを推したい記事などでは、比較の数字をずらして業務委託がものすごく稼げるように見せている記事が多いので前提を変えては比較にならないというところに要注意です。
正社員と業務委託の差は自分の働き方が決まっているとどちらが良いか選びやすいよ!
業務委託美容室を選ぶ時に注意が必要なポイント
比較を見ていただいて、業務委託の方が稼げる可能性は見えたと思いますがこれも一長一短。
どちらが稼げるかは売上が大きくなるほど差は出てきますが安定感のなさや、節税の苦労なども考慮すると「何よりも本気で稼ぎたい方は業務委託。安定感や一定の暮らしが安心する方は正社員。」が良いかと思います。
業務委託で稼ぐには前提の条件が非常に大切になります。正社員サロンはどの会社も給与システムにはそれほど差がありません。業務委託は条件が違うと稼ぎ具合も変わります。そこでここでは業務委託を選ぶ際に注目すべき点をお伝えいたします。
業務委託サロン求人のチェックポイント①
【〜】の表記がある時は正確な数値を確認しましょう。
よく見かけるこの表記は歩合率に関わるものが多くあります。例えばですが、指名歩合40〜50%と記載されている場合、通常が40%で条件付きで50%という事がほとんどでしょう。50%もらうには売上150万以上などすぐには達成困難なものがほとんどです。
高額な保証給は条件の確認をしましょう。
「保証給50万円!」などは月30日勤務などの厳しい条件付きがほとんどです。
サロンでは実際に勤務しているスタッフの出勤数や労働時間から、おおよその稼げる金額を把握しています。「○日勤務で、〇〇円保証!」となっている場合、それだけ出勤したら保証を使わなくてもそのくらいの稼ぎにはなるという一つの指標にはなります。
「保証給30万円」なら24日勤務くらいが現実的な保証給と思います。高額な保証給はあてにできませんが体力に自信がある方は良いかもしれません。
実際に暇な月もあるため保証があると安心ですが、ほとんどは使わずに済む場合が多いです。
業務委託サロン求人のチェックポイント②
歩合計算は税込みか、税抜きか
報酬の計算の際に売上金額の税込み価格なのか、税抜き価格なのかは必ずチェックしたほうが良いです。この部分は求人サイトには記載されていないので、口頭での確認になります。「聞きづらいな、、、」と思う方もいると思いますが、この部分で大きく報酬金額が変わるので勇気を出して聞いてみましょう。求人担当からすると聞かれ慣れているので全く緊張する必要はありません。税込み価格で計算しているサロンは強みの部分でもあるので、聞かなくても説明してくれる事もあります。ですが自分から聞くことで意識の高さも伝わるので、自分から聞くことをお勧めします。
材料費は込みなのか別なのか
材料費別のサロンは売上の10%を材料費として引かれるのでこちらも確認必須です。特に60%以上の歩合率の場合は絶対に聞いたほうが良いです。「歩合より諸経費をいただいております」などの記載も小さく書いてあることがあるので、「諸経費」の内容確認をしましょう。
業務委託サロン求人のチェックポイント③
これは非常に本当に重要な事です。
入店予定のお店の集客状況と新規と再来の割合を確認しましょう。
業務委託美容師はお客様を担当できなければ報酬は0円です。自分のお客様を連れて行ける人以外は死活問題になります。特に新規が多いほうがチャンスが多いので頑張りがいがあると思います。よく「月に100人は入客できます」や「月に30万は余裕で稼げます」など言いますが、新規が少ないと指名になりにくいのでとにかく入客しまくるだけの「馬車馬」のような状態になりかねません。自分の顧客を獲得し単価を上げて徐々に自分の時間を獲得しましょう。
ですが、新規が多ければいいという訳ではありません。お店ができて何年経っているかも聞いてみましょう。長年経営しながら新規が多すぎる場合、お客様が定着しない理由があります。
サービスレベルが低いか、スタッフが辞めやすい環境の可能性もあるので注意が必要です。
これらは最低でもチェックしたほうが良い事です!実際に面接をしていたからこそ分かる細かいこともあるので進路相談もできますよ!
業務委託美容室にある手当例
各社金額に差はあります。ここに挙げているのはあくまで1例です。金額が大きいほどその会社が大切にしている、力を入れている事が分かります。ご自身の「働き方」や「稼げそうだな」というスタンスで参考にすると良いです。全て自分の理想通り兼ね備えているサロンはないので、自分には何が必要か考えておくと決めやすいでしょう。
店長手当 お店の総売上の1%もしくは定額で5万円前後 |
副店長手当 お店の総売上の0.5%もしくは定額で2万円前後 |
交通費 総支給もしくは限度10,000円前後 |
口コミ手当 評価の良いもので1件500円 |
ブログ手当 3,000円前後 |
SNS、メディア手当 10,000〜100,000円ほど |
撮影手当 1スタイル1,000円/撮影費を会社が負担してくれる |
教育手当 30,000円前後 |
引越し手当 200,000円前後。出しているところは少ない |
家賃手当 1〜3万円程度。 |
入社祝い金 10万前後。入社後勤務1年などの条件あり |
紹介手当 10万円〜20万円ほど。上記に類似の条件あり |
業務委託を選ぶなら自分の働き方にあっているかをチェック
勤務日数、曜日選びは慎重に。
勤務日数や出勤する曜日も自由なのが売りの業務委託。稼ぎに影響のある部分はチェックが必要です。それは、サロンのある地域によってピークタイム、集客のかかる曜日、客層が違います。できれば見学や体験入店の際にスタッフさんに実際の稼ぎを聞いてみることができたら理想です。難しければ客層や、ピークタイムを聞いておくだけでも参考になるでしょう。それがないと自由に出勤しても稼ぎがついてきません。
マンツーマンか掛け持ちか
掛け持ちかマンツーマンかは決めておくと良いです。これは稼ぎ方に大きく響いてきます。それと業務委託はアシスタントがいるパターンといないパターンがあり、いない状態での掛け持ちはかなり時間に迫られた1日になります。ですが稼ぎたいなら掛け持ちです。アシスタントがいるパターンは、自分がアシスタントを使った時間分アシスタント使用料を取られるお店も多いです。どちらも一長一短なので選び間違わないように確認しておきましょう。それと条件などを確認したら店舗の入客ルールも確認しておくと安心です。これも店舗によって独特なものもあるので必須です。
まとめ
業務委託サロンの実際の稼ぎや裏側を交えながらの解説でしたがいかがでしたでしょうか?一言で業務委託サロンと言っても生態系はバラバラで、大切なのは自分に合っているかどうかです。同じ時間をかけても手に入るものは様々でしょう。情報だけではわからない事も多いのでサロン見学に一旦行くのはオススメです。その際今回見た内容をぜひチェックしてみてください。みなさんの美容師人生が豊かになることを願っております。
良い選択ができるよう応援しております!