美容師の独立パターンは大きく分けて3つあります。
あなたが独立して勝ち取りたい目的は、どの独立パターンがマッチするのでしょうか?
今回は3つの独立パターンのメリット、デメリットをまとめてみたいと思います。
1 3つの独立パターン
1人独立(職人型ビジネス)
オーナーのあなた自身がプレーヤーとして働く為、 経営者としての能力よりも美容師としての能力が重要となります。
独立を志すという事は美容師としてのキャリア、能力はある程度備わっているかと思うので、独立の初期設定(立地、物件、メニュー単価)さえ誤らなければ限りなく失敗が少ない形態です。
メリットとしては失敗が少ないのと、雇用をしないのでマネジメントする必要がありません。
多くの美容室経営者が悩むポイントは売り上げではなく人の問題です。
人を雇用しても長続きしない、、
きちんと教育はしてるけどなかなか思ったように結果が出ない、、
思ったように動いてくれない、、
結果を出さないのに愚痴ばかり言う等々。。
このあたりをうまくやりくりして結果を出していくのが経営者の仕事なのですが、
1人独立の場合そういった問題は出てきません。
なのでマネジメントに不安がある方は最初から1人独立で行くことを決めて独立されることをお勧め致します。
ただなんと言っても 一番のリスクは健康リスク。
人がいない、という事は自分に何かあったら全てがストップするという事です。。
人がいないメリットもあればデメリットもあるという事。。
という事で、身体が資本となってきますので最悪の事態も考慮しておく必要があります。
夫婦サロンでの独立(家業型ビジネス)
こちらも1人独立とほぼ重複しますが
オーナーのあなた自身、または気心知れたあなたの奥様(旦那様)がプレーヤーとして働く為、 経営者としての能力よりも美容師としての能力が重要となります。
1人独立と同じで、独立の初期設定(立地、物件、メニュー単価)さえ誤らなければ限りなく失敗が少ない形態です。
メリットもほぼ同じ、失敗が少ないのと、雇用をしないのでスタッフマネジメントする必要がありません。
さらに1人独立よりも単純にスタッフ数が1人多い為、利益はかなり出やすい形態です。
ご夫婦仲が円満に続くようであれば、最強の形態と言えるかもしれません。
ただ一番の懸念点としては ご夫婦が四六時中一緒にいる事。
どんなに仲のいいご夫婦でも、家庭でも一緒、職場でも一緒となると息の抜きどころが無くなる可能性もあります。
それにより万が一家庭が崩壊してしまうと、同時に職場も崩壊します。。
しっかりとご夫婦で将来のビジョンを共有し、必要であれば決まり事を決めておく等準備が必要です。
また、経営面で言うと高単価、高再来率が必須事項になってきます。
そこにしかない価値をしっかりもち、ランニングコストはシビアに計算しましょう。
こちらも1人独立同様、身体が資本となってきますので、最悪の事態も考慮しておく必要があります。
スタッフ雇用独立(事業としての美容室経営)
人産業として、規模や立地(集客、求人のバランス)をよく考える必要があります。
1人独立、ご夫婦独立と違い、美容師としての能力はもちろんですがそれにプラスして 経営者としての能力が求められます。
変な話、最短で稼ぎたいのであれば1人独立、ご夫婦独立の方が適しています。
スタッフを雇用する以上、長期に渡りスタッフの労働環境を守る為には店舗展開が必須となる為
ご自身の美容師としての能力よりも、経営力やマネジメント能力を磨いていく必要があります。
美容業の生産性では、1人2人雇用し始めた段階ではご自身のお給料は上がりません。
いや、正確に言うと 上げてはいけない
独立→集客→売り上げ増→求人→集客→環境整備→売り上げ増→求人…
このサイクルをいかに早く回すかが店舗展開には必要なので、
ある程度の売り上げでご自身のお給料を上げ過ぎてしまうと投資が出来なくなります。
そのあたりのノウハウやセンスを磨いていく事が大切です。
そう考えると、スタッフ雇用の初期はリスクを背負いながらも投資をし続ける必要があるのであまりいいことがないように思えますが、
最大のメリットは、ある程度の規模感になると 自分が現場にいなくても売り上げが上がるようになる事です。
それはどういう事かというと
時間とお金が手に入る
また、万が一自分の身体に何があったとしても 事業が止まる事はありません。
よって健康リスクが1人独立、ご夫婦独立よりも低くなるということです。
このあたりがスタッフ雇用の最大のメリットかと思います。
経営を学ぶことに投資し、経営者として、職人として、バランスをしっかりとりましょう
2 なぜ独立前にパターンを決めなければいけないのか?
独立パターンにより立地が変わる
1人独立やご夫婦独立の場合、無理して家賃の高い駅近に出す必要がありません。
人口が5万人以上いるエリアで、きちんとしたお店のコンセプト=売りがあれば集客はかかります。
ましてや求人を気にする必要もないので、
駅から少し離れた住宅街で十分成り立つのです
それをなんとなく家賃の高い駅近に出そうとしてしまうと、結果的にランニングコストが 無駄に上がります
なので1人独立、ご夫婦独立の場合は駅から少し離れた家賃の安い立地で独立する事をおススメします。
逆にスタッフ雇用独立の場合は、多少家賃が高くても必ず駅から徒歩5分圏内に独立する事をオススメします。
なぜなら、集客の為ではなく
求人をかかりやすくする為です。
集客はノウハウと広告費さえあれば駅近でなくても問題ありません(人が住んでいれば)
求人はノウハウと求人費があっても、出店する立地によってどうにもならない場合があります。
スタッフ雇用する前提で出店したのに、求人が全く来ないのであればうまくいきっこありません
スタッフ雇用する前提で出店をするのであれば、スタッフが通いやすい立地に出店する。
ここは最重要項目です。
しっかり押さえておきましょう。
独立パターンにより物件が変わる
1人独立、ご夫婦独立の場合、セット面1〜3面、シャンプー台1〜2台おければ十分です。
なぜなら、 人を雇用しないと決めているから。
なので、坪数でいうと6坪〜12坪くらいで十分で、見栄を張って広い物件を借りてしまうと無駄に家賃が高くなります。
さらに、駅近でなくても問題ないので坪単価1万程の物件は探せばいくらでもあります。
そうなると家賃は必然的に、6万〜12万となり
損益分岐が下がる分利益は残りやすくなります。
これを無駄に駅近の坪単価2万の物件にしてしまうと、規模は同じでも12万〜24万となってしまいます。
これ、 後からどうする事も出来ません。。
なので独立前にしっかりご自身の独立パターンを決め、それに合った物件を選ぶことがとても大切になります。
逆にスタッフ雇用独立の場合はセット面5〜6面、シャンプー台2〜3台の物件を 選ばなければなりません。
スタッフ雇用=店舗展開と考えますので、
それくらいの規模感が黄金バランスとなります。
その黄金バランスは坪数で言うと18〜20坪。
これくらいの規模感がベストです。
また、求人を取る為駅近に出さなければならないので必然的に坪単価は上がります。
ただ坪単価2万以上の場合、美容室経営において利益を出すのがかなり難しくなる為
駅近だけど坪単価1〜1.5万あたりの物件を探しましょう。
そうなると坪単価1〜1.5万で坪数は18坪〜20坪になる為
必然的に家賃は18万〜最大30万となります。
一人独立、ご夫婦独立よりは損益分岐が上がってしまいますが、最悪一人でもやれない家賃ではなく
うまく人を雇用していければ利益は出せます。
さらにセット面5面あれば人を最大7〜8人雇用できるので、出店の準備も出来るわけです。
その物件でスタッフを7〜8人雇用し、売り上げを350〜400万上がったタイミングで
スタッフ二人で近隣の駅に2号店をオープンさせる事が出来ます。
1号店は顧客とスタッフが残るのでまた売り上げを上げスタッフを雇用しましょう。
2号店は1号店の顧客を2号店に連れていくので、初月から黒字化できるかも知れません。
また、1号店の文化を引き継いでいるスタッフが2号店の店長となる為、マネジメントもそこまで難しくはありません。
と、このように スタッフ雇用独立の場合、店舗展開を最初から視野に入れることがとても大切となります。
3 失敗事例
立地による失敗
1人独立、ご夫婦独立で無駄に家賃が高い立地に出店する事で、無駄に損益分岐が上がり利益が出ない為
営業時間を伸ばしたり、休みが取れず疲弊してしまうケースが多々あります。
そうなると、仮に1人、もしくはご夫婦2人でゆったりとやる事が当初の目的だったはずなのに利益が出ない為、 理想からかけ離れた人生を送ることになってしまいます。
また、スタッフ雇用独立をしたはずなのに求人がかかりにくい立地に出店する事で、
全くスタッフを雇用できず展開できず、1人2人だと利益が出にくい初期設定の為、 現状維持もままならない事態に陥ってしまいます。
そうならない為にも、独立前にご自身の独立パターンを明確に決めておく事をオススメします。
物件による失敗
1人独立、ご夫婦独立をするにもかかわらず
無駄にでかい物件にしてしまうことで家賃が高くなりこちらも立地の失敗と同じで
営業時間を伸ばしたり、休みが取れない事態になってしまいます。
逆にスタッフ雇用をする前提なのに狭すぎる規模の物件にしてしまうと、スタッフを抱えられず店舗展開できない事態に陥ります。
これらも目的と手段がちぐはぐなケースの為、やはり独立前に独立パターンを明確にしておきましょう。
4 独立美容師オススメの独立パターン
まず、これから独立される方は、 ご自身の人生の目的を明確に決めましょう。
そこを決めずに今の状況や感覚だけで独立パターンを決めてしまうと、後々壁にぶつかります。
そしてその壁は あなたの頑張りではどうにもならない壁です。
独立の目的は何なのか?
目的を達成する為に、どの独立パターンで独立すべきか??
こういった 逆算思考で独立を考える事が大切です。
まとめ
今回は美容師の独立パターンについてまとめました。
独立パターンには3つの独立パターンがある。
それぞれメリット、デメリットがある。
それぞれの独立パターンに合わせた独立をしなければ後々壁にぶつかる。
まずは独立の目的を明確化する事。
その上で目的と紐づいた独立パターンを選ぶ事。
このあたり、独立して成功する為にはとても重要なポイントです。
独立後発組の恩恵をしっかり預かり、失敗しない独立、長期繁栄できる独立をしていきましょう。
その他にも独立をする上で押さえておかなければいけない点はいくつもあります。
詳しく学びたい方はぜひ、美容師独立講習Class1にお越し下さい。
先人達の『失敗』をしっかり活かすべきかと思います。