独立美容師必見!運転資金とスタッフ増員の関係性について徹底解説。

集客が厳しくなってきている近年は、美容師独立のスタート時にまずはスタッフ増員をせず、一人で独立する事をお勧めしています。

売り上げを上げ黒字化していく過程でスタッフ増員をしていく事で赤字を極力出さないようにし、その結果失敗の確率を少なくしていく独立のやり方なのですが

では独立してどのタイミングでスタッフの増員をするのがベストなのか?

そのあたり、今回は運転資金とスタッフ増員の関係性について考察してみます

是非ご参考になさってください。

美容師の独立における運転資金の重要性を理解しよう

美容師独立資金の優先順位1位は運転資金

美容室の開業時に、なによりも最優先で確保すべきなのが運転資金です。

開業前にどんなに多くの顧客売り上げを持っていたとしても、開業した美容室に顧客の方が全員ご来店してくださるわけではありません。

また、どんなに独自の集客ノウハウがあったとしても、開業する美容室のエリアで今までと同じように集客できるかどうかはわかりません。

美容室を開業してから黒字化するまで半年以上かかる先輩美容室経営者さんも多くいらっしゃるので、
半年間赤字が続いても運営できる運転資金の確保をまずは第一優先に考えましょう。

では顧客(指名客)ってどのくらい来てくれるのでしょうか??

あくまでも基準ですが、「雇われ時 指名客の30%程度」と思っておいてください

来てくれる 30%
お店に残る 30%
他店を探す 30%
誤差 10% くらいです

独立場所が元勤務先から近く、オーナーが協力してくれたとしても60%程度でしょう

勤務先がいい形で協力してくれなければ、すぐ近くに出店したとしても30%強ぐらいに思っておいたほうがよろしいかと思います

その程度の計算で新規集客の戦略を練りましょう

理想の立地、内外装を実現しつつも、出店費用、ランニングコストを最大限抑えていく事が大切です

そうは言っても新規集客がどれくらいかかるかは実際に出してみないと分からないもの。。

もちろんマーケティング、サロンの売り、見込み客への発信等のしっかりとした事業計画があり、
人口5万人以上の都市であれば集客はかかります。

ただ集客が最初からかかるエリアもあれば、時間がかかるエリアもあるので
軌道に乗るまで赤字が続いたとしてもそこで生き残れる為には『運転資金』が必要なのです。

運転資金200万は『最低でも』確保するべきです。

もちろん運転資金は多ければ多いほど余裕が出ますし、次への展開も早くなります。

美容室の開業資金について詳しくはこちらから→美容室の開業資金の使い方を先人から学ぶ!失敗するNG例3選も紹介

顧客が少ない独立美容師ほど運転資金が重要

仮にスタートは1人で独立したと仮定します。

ざっくりマンツーサロンの損益分岐点は50万くらいなので

ご自身の給与が25万なら、売上75万以上を目指さなければ赤字となってしまいます。

実働24日 (隔週連休)
人件費込みで損益分岐75万で考えてみると

1日に必要な売上は3.1万
1日4回転なら単価7700円 客数97人
1日3回転なら単価1万300円 客数73人

となります。

どちらの単価設定で行くにしても、この売上を全て新規客であげるのは非常に難しい。。

元の顧客がいるのといないのでは、損益分岐点越えに大きく影響してきます。

仮に独立時に顧客売り上げ100万が初月から見込めるのであれば、そのお店は初月から黒字化するので極端な話運転資金がなくても問題ないのですが、

その顧客売り上げが絶対に実現できるでしょうか?

実現できる根拠、自信があったとしても、独立時にトラブルはつきもの、、

最高な状態を想像するのではなく、常に最悪な状態を想像し、そこに対してリスクヘッジを行うのが経営者の仕事です。

美容師としての成功体験や自信や感覚で独立してはいけません。

仮に顧客売り上げだけで黒字化できる自信があったとしても運転資金の確保は必須です。

また、顧客売り上げが75万に達しない独立美容師さんは新規集客で補う必要がありますが、

顧客売り上げで損益分岐に足りない分を新規集客で75万に達したとしても
そのご新規様には当然ですが『広告費』がかかっています。

初回のご来店では売り上げから広告費を差し引いた金額が利益になるので(材料費も)
売り上げが上がったとしても利益が出なければ口座のお金は増えません。

なので75万を顧客とリピート客で埋めれるようになって初めてお店が安定してくると言えます。

それまでの間に運転資金がないと持ち堪えられなくなります。

そう考えると顧客が少ない独立美容師さんは運転資金がいくらあっても多すぎる事はないでしょう。

独立時の集客について詳しくはこちらから→美容師の独立に欠かせない集客方法と考え方

独立時に資金を借りれるだけ借りよう

仮に
『居抜き物件で1000万は確保できそうだ
あと500万借りれるけど、正直必要はなさそう…』

というシチュエーションになった場合、資金を多く借りるか少なく借りるか?

どちらの選択が正しいのでしょうか??

答えは…

『資金は多ければ多い方がいい!』

よく経営において ヒト、モノ、カネと言われますが、何が一番大事かというとズバリ カネです。

資金があればどんなに状況が悪くても潰れることはありません。

逆に言うと、

どんなに素晴らしい店を作っても
どんなに素晴らしいスタッフがいても
どんなにお客様が多く来店されても
資金がなくなれば潰れます。

それくらい大切な資金ですが
どのタイミングで借入が可能かというと

出店のタイミングが多く借入するのにベストなタイミングです。

というよりも借入額を少なく独立し、思ったより売り上げが上がらないから運転資金の借入を申し込んでも
多額の資金を貸してくれる金融機関はほとんどありません。

だって金融機関からしたら独立時の計画通りにいってなくて売り上げが上がってないのであれば
『返済できるか分からないですからね…』

なので創業融資のタイミングで借りれるだけ多く資金を借りる、という事がとても重要となります。

借金=悪
ではありません。

資金がなければ何もできない

美容師が独立する上でも経営する上でも大切なポイントです

しっかりおさえておきましょう。

独立時の資金調達に関して詳しくはこちらから→
【裏技あり】美容師の独立に必要な資金調達の方法

独立美容師の運転資金と増員のタイミングを2つのパターンから掘り下げよう

運転資金の重要性を理解したところで、今回のテーマである、運転資金と増員のタイミングの関係性について掘り下げてみましょう。

損益分岐75万一人スタート、単価1万の独立美容師の場合

実働24日 (隔週連休)
人件費込みで損益分岐75万で考えてみると

1日に必要な売上は3.1万

単価1万だと1日3.1人となります。

この設定の場合1日に3.1人予約が入れば黒字化できる設定なので無理して早い段階でスタッフを増員する必要はありません。

仮に独立2ヶ月目で60万売り上げを達成したとして、その月の赤字は15万です。

そこでお給料25万のスタッフを一人増員すると、60万売り上げで40万の赤字になります。

もちろんスタッフの枠が一人分増えた事で売り上げは上がりやすくはなりますが

1人営業の時にマックス売り上げに達していないタイミングなので2枠埋まるまで時間がかかってしまいます。

1人で独立スタートし、損益分岐が比較的低い店舗で有れば極力1人でマックス売り上げまでいってからスタッフの増員をする事で運転資金が減らない経営が維持できます。

仮に顧客売り上げが30万で、毎月新規売り上げが20万キープできているとしたら運転資金はいくら必要でしょうか?

*新規再来率50% 3回目再来率80% 4回目再来率90% 2ヶ月周期
顧客再来率100%だと仮定したシュミレーションです*

初月
顧客売り上げ30万
新規売り上げ20万
総売り上げ 50万
赤字25万

・2ヶ月目
顧客売り上げ30万
新規売り上げ20万
総売り上げ50万
赤字25万

・3ヶ月目
顧客売り上げ30万
新規売り上げ20万
(新規再来率50%)初月の再来売り上げ 10万
総売り上げ 60万
赤字15万

・4ヶ月目
顧客売り上げ30万
新規売り上げ20万
(新規再来率50%)2ヶ月目の再来売り上げ10万
総売り上げ 60万
赤字15万

・5ヶ月目
顧客売り上げ30万
新規売り上げ20万
(新規再来率50%)3ヶ月目の再来売り上げ10万
(3回目再来率80%)3回目再来8万
総売り上げ 68万 赤字7万

・6ヶ月目
顧客売り上げ30万
新規売り上げ20万
(新規再来率50%)4ヶ月目の再来売り上げ10万
(3回目再来率80%)3回目再来8万
総売り上げ 68万 赤字7万

・7ヶ月目
顧客売り上げ30万
新規売り上げ20万
(新規再来率50%)5ヶ月目の再来売り上げ10万
(3回目再来率80%)3回目再来8万
(4回目再来率90%)4回目再来 7.2万
総売り上げ 75.2万 黒字0.2万

この設定だと7ヶ月目でようやく黒字化です!
半年間の赤字金額は総額94万です。

総運転資金が200万だとしたら半分近く運転資金が溶けたことになります。。

ただ1日3人の予約は1人営業でも十分に埋められるので、7ヶ月後に黒字化するタイミングでスタッフ増員する、というのが赤字を最小限に抑えるタイミングかと思います。

損益分岐100万一人スタート、単価1万の独立美容師の場合

実働24日 (隔週連休)
人件費込みで損益分岐100万で考えてみると

1日に必要な売上は4.2万

単価1万だと1日4.2人となります。

この設定の場合1日に4.1人予約が入なければ黒字化できない設定なのですが、そもそも1人で営業していて毎日満遍なく4.1人のご予約を埋めることはできるでしょうか?

予約の入りやすい時間は朝一か午後一です(エリアによって違いはあります)

住宅街であれば夕方の予約は入りずらい傾向にあるかと思うので75万くらいまでは1人で売り上げられたとしてもそこから100万にいくまで売り上げの伸びが微増になることが予想されます。

ある程度までは顧客と新規集客の売り上げにプラス、再来してくる方の売り上げが載ってくれば売り上げは上がりますが

そこから100万に達するには予約枠が必要です

1人で頑張って100万を目指すのももちろん悪くありませんが、毎月20万程度の赤字は出るので運転資金は減っていきます。

であれば75万の時点でスタッフを増員し、増員月の赤字は50万出てしまいますが
朝イチ、午後一の予約枠が増えれば2〜3ヶ月後には100万達成することもできるので

実質1人で75万売り上げている時と赤字額は25万と同じになります

同じ赤字で売り上げ100万でスタッフが増えるのと

1人で75万のままなのと、
どちらが展開スピードは早いでしょうか??

もろちん後者ですよね?

一度実際にシュミレーションしてみましょう

*新規再来率50% 3回目再来率80% 4回目再来率90% 2ヶ月周期
顧客再来率100%

雇うスタッフの人件費25万だと仮定したシュミレーションです*

初月
顧客売り上げ30万
新規売り上げ20万
総売り上げ 50万
赤字50万

・2ヶ月目
顧客売り上げ30万
新規売り上げ20万
総売り上げ50万
赤字50万

・3ヶ月目
顧客売り上げ30万
新規売り上げ20万
(新規再来率50%)初月の再来売り上げ 10万
総売り上げ 60万
赤字40万

・4ヶ月目
顧客売り上げ30万
新規売り上げ20万
(新規再来率50%)2ヶ月目の再来売り上げ10万
総売り上げ 60万
赤字40万

・5ヶ月目
顧客売り上げ30万
新規売り上げ20万
(新規再来率50%)3ヶ月目の再来売り上げ10万
(3回目再来率80%)3回目再来8万
総売り上げ 68万 赤字32万

・6ヶ月目
顧客売り上げ30万
新規売り上げ20万
(新規再来率50%)4ヶ月目の再来売り上げ10万
(3回目再来率80%)3回目再来8万
総売り上げ 68万 赤字32万

・7ヶ月目
顧客売り上げ30万
新規売り上げ20万
(新規再来率50%)5ヶ月目の再来売り上げ10万
(3回目再来率80%)3回目再来8万
(4回目再来率90%)4回目再来 7.2万
総売り上げ 75.2万 赤字24.8万

・8ヶ月目
顧客売り上げ30万
新規売り上げ20万
(新規再来率50%)5ヶ月目の再来売り上げ10万
(3回目再来率80%)3回目再来8万
(4回目再来率90%)4回目再来 7.2万
総売り上げ 75.2万 赤字24.8万

ここまでで総赤字293万です

この赤字を出した状態でスタッフを増員するの!?
と普通ならそう考えると思いますが
この時点でこのお店は予約が取れなくなってきていることが予想されます。

1人営業の予約枠をマックスまで埋まっているので当然そうですよね?

断り客がいる、ということは枠を増やせば売り上げはすぐに上がりやすい状態にあるということです。

このまま1人営業を続けて赤字を垂れ流していくのか?

スタッフを増員して枠を増やすことで25万売り上げて人件費分ペイし、
新規客と再来客を増やしていくのか?

結果的には後者の方が赤字が減り運転資金が残ります。
(もちろん集客できており、再来率をキープできていれば)

そうはいっても運転資金200万、顧客30万しかない状態で損益100万のお店で出店するのは無謀ですけどね、、(あくまでシュミレーションの一例です)

仮にこの設定で出店するのであれば、運転資金は500万あってもギリギリかもしれません。

このあたりの考えは実際ブログを読んでも理解しづらい部分なので
詳しく知りたい方は通常¥3000の独立セミナーが、現在ワンコイン¥500でご参加可能ですので是非ご参加ください→美容師独立講習Class1

まとめ

独立して店舗展開していくのであればスタッフの増員は必須ですが、

誤ったタイミングで増員してしまうと運転資金が一気になくなり潰れてしまいます。

逆にスタッフを増員しなければそもそも黒字化できないケースもあるので、その場合はスタッフ増員のタイミングを逸してしまうと運転資金が結果的になくなってしまいます。

まとめると

①運転資金はいくらあってもいい(最低でも200万は確保する)
②損益が低い設定であれば極力1人で黒字化するまでスタッフ増員をしないほうが運転資金は残る。
③損益が高い設定であれば適切なタイミングでスタッフ増員し予約枠を増やさないとそもそも黒字化しないケースもある
運転資金は多ければ多い方がいい!

です。

実際にシュミレーションしてみていかがでしたか?

今までの美容師としての成功体験と独立して経営者になるということは全くの別作業です。

失敗しない為にも独立前にしっかり学び、謝った設定で独立しないようにしておきましょう。

追伸

今回お伝えした『独立美容師必見!運転資金とスタッフ増員の関係性について徹底解説。』に加えて

  • 失敗しない為の立地選びとは?
  • 倒産しない為の利益の方程式ってなに?
  • 独立目的別の物件選び方法
  • 本当は怖い、内装業者の選び方と裏話

このあたりの内容をどこよりも詳しくお伝えしている美容師独立講習Class1を開催しております。

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